会社設立のメリットとデメリット

会社設立のメリットとデメリット

会社設立のメリット

起業するにあたって、「個人事業と会社設立とどちらがいいだろうか?」と悩む方が多いようです。

 

売上の規模や事業内容に合わせて、どちらがベストなのか慎重に検討する必要があります。

 

会社を設立をした場合のメリットとデメリットについて解説します。

 

メリット1 社会的信用力が高い

 

会社を設立すると、会社の名称や所在地、代表者、資本金等が登記されます。

 

そして法務局に行けば、これらの会社の重要な情報を誰でも閲覧することが可能となります。

 

企業によっては、新規の取引を行う場合、その会社の登記情報を確認してから、安心した取引を行なえるかを判断することもあるようです。

 

個人事業とは取引をしないという企業も多数存在していますから、取引先の幅を広げることを考えると、法人の方が有利です。

 

メリット2 資金調達がしやすい

 

資金が必要な場合、金融機関から融資を受けることになりますが、個人事業で融資を受けようとすると、第三者保証人を要求される等、融資条件がかなり厳しくなります。

 

一方、法人の場合は、損益計算書・貸借対照表の作成が義務付けられているため、正確な融資判断ができることから、融資審査に通る可能性が高くなります。

 

メリット3 優秀な人材を確保できる

 

就職先を探している人は、大抵、安定した会社を選択するものです。

 

個人事業の従業員よりも、社会保険完備・退職金制度在り等の株式会社の正社員として働きたいと思うのが大半ではないでしょうか。

 

優秀な人材を確保する点でも、法人の方が有利です。

 

メリット4 法人税の税率による節税効果

 

売上から必要経費等を差し引いた利益に対して税金がかかります。

 

個人の場合は「所得税」、法人の場合は「法人税」が課税されます。

 

法人税の税率は、原則一定であるのに対して、個人事業の所得税は累進課税であるため、所得が増えるほど税率が高くなります。

 

そのため、利益の金額によっては、法人の方が納める税金が少なくなります。

 

例えば、利益800万円の場合、個人事業の所得税は23%ですが、法人税は15%です。

 

利益の金額が一定水準を超える場合は、法人の方が税負担の面で有利となるのです。

 

メリット5 給与所得控除が使える

 

個人事業主の場合、売上から経費を差し引いた利益すべてに対して所得税がかかります。

 

一方、法人の場合は、会社から社長に「役員報酬」として給料を支払うという形になります。

 

役員報酬は、会社から個人に対して支払われる給与であるため、「給与所得控除」が使え、社長個人が負担する所得税を節約できます。

 

例えば、売上1500万円・経費500万円の場合、個人事業主は利益1000万円に所得税が課税されます。一方法人であれば、1000万円を役員報酬として支給することで、給与所得控除として220万円を控除できますので、780万円に対して所得税が課税されることになり、大きな節税となります。

 

メリット6 所得を分散できる

 

所得税は、所得が増えるほど税率が高くなるため、事業者1人で役員報酬を受け取るよりも、家族に給与を支払って、所得を分散させた方が税負担は軽くなります。

 

個人事業の場合、「青色専従者給与」の制度がありますが、それには税務署への事前届出が必要であり、専従者給与を支給したなら、その家族は「配偶者控除」や「扶養控除」を受けることができません。

 

一方法人の場合は、そうした制約はなく、家族従業員への給与を年間103万円以下にすれば「配偶者控除」や「扶養控除」の対象となりますし、配偶者だけでなく、子や両親にも役員報酬を支払って、所得を分散することが可能です。

 

メリット7 消費税が免除される

 

個人事業でも法人でも、創業当初の2年間は消費税が原則免除されます。(ただし、第1期の上半期の売上または給与等の支払額が1000万円を超えている場合は、消費税が課税されます)

 

この消費税の免税を効果的に活用すれば、個人事業で2年、その後法人成りをしてさらに2年、最長4年間の消費税の免税を受けることが可能です。

 

メリット8 欠損金を繰越できる

 

個人事業の場合は、1月〜12月までが事業年度と決められていますが、法人の場合は決算期を自由に決めることができます。

 

年度によっては売上よりも経費の方が多くなり、決算で赤字となる場合もあるかもしれません。

 

個人事業の場合、「純損失の繰越控除」という制度があり、赤字を翌年度以降3年にわたって繰り越すことができ、3年間の黒字と相殺できます。

 

一方法人の場合は、「欠損金の繰越控除」という制度があり、繰り越せる期間は3倍の9年となり、9年間の黒字と相殺して税金を抑えることができます。

 

また、「欠損金の繰越還付」という制度もあり、前期は黒字で当期が赤字というケースの場合、前期に納税した法人税の還付を受けることも可能です。

 

メリット9 経費の幅が広がる

 

自宅兼事務所

 

自宅を事務所にしている場合、個人事業では、自宅部分については事業と関係がないので経費とすることはできません。

 

家賃や光熱費のうち、事業と関係する事務所部分のみを計算(按分)して経費として申告します。

 

一方法人成りした場合、事務所部分だけでなく、自宅部分の一部を経費にすることが可能です。

 

代表者の自宅を会社の社宅とすることで、家賃の50%を会社の負担とし必要経費とすることができます。

 

また会社名義で自宅を購入すれば、建物の減価償却費や固定資産税、火災保険、借入金の利子等も、会社の経費にできます。

 

生命保険料

 

個人事業では、どれだけ保険料を払っていても最大12万円の所得控除(生命保険控除)しかありません。

 

これに対し、会社の場合、契約者と受取人を共に法人にして生命保険に加入すれば、社長や家族従業員にかけた保険料全額を、法人の費用とすることができます。

 

出張旅費

 

個人事業主の場合、宿泊代などの実費のみが経費になります。

 

法人では、出張旅費規程を作り、日当・宿泊費等を定めれば、その全額を経費にすることが可能です。

 

日当(出張手当)は所得税が非課税とされているため、二重の節約となります。

 

会社設立のデメリット

 

デメリット1 設立・維持費用がかかる

 

会社を設立するには、定款の作成や登記が必要となるため、定款認証手数料・登録免許税等、25万円程度の費用が必要です。

 

さらに、毎年の税務申告において、決算が赤字となった場合、個人事業であれば税金は発生しませんが、会社であれば税金を支払う必要があります。

 

「法人住民税の均等割」と呼ばれるもので、毎年最低でも7万円程度の税金を支払わなければなりません。

 

デメリット2 社会保険への加入義務がある

 

個人事業では、従業員が5人未満なら社会保険の加入は任意ですが、会社は加入が義務付けられており、社長一人の会社でも加入しなければなりません。

 

社会保険料(健康保険料と厚生年金保険料)は給与に応じて決まりますが、会社と従業員とで折半する形となりますので、従業員が多いほど会社の負担も大きくなります。

 

デメリット3 事務負担が増える

 

法人の会計処理については、会計帳簿の作成や法人税の申告など、複雑な経理処理が必要となります。

 

さらに、社会保険の手続きや、株主総会の開催・議事録の作成、会社組織の変更登記などの手続きも必要ですので、個人事業と比べ格段に事務負担は増加します。

 

かなりの手間や時間を要しますので、一般的には税理士や社会保険労務士や司法書士等の専門家に依頼するケースが多いようです。

 

まとめ

 

会社設立のメリットとデメリットを参考に、いろいろな要素を比べて企業の形態を検討してください。

 

一般的には、まずは個人事業から始めて、節税のタイミングをみながら法人成りするケースが多いようです。

 

会社設立の大きなメリットは信用力が増すことと節税効果です。

 

売上の規模、事業内容を考慮しながら、ご自身の状況に合ったベストな起業方法を選択しましょう。

 


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